新参者。

殆ど白紙の状態で、ライブに参戦する。
手探りのまま曲に身を任せ、手探りのまま見よう見まねで会場を盛り上げる。
不思議にアウェー感は全く無く、その場にいられた喜びを噛み締めていた。
それから数日後、私はそのグループのアルバムを一枚購入している。
この人たちのアルバムなら間違いない、と心より思えたからだ。
その人たちの名前は「カシオペア」。
名前だけは辛うじて知っていたものの、彼らが演奏する曲については殆ど知らなかった。
ただ、プレイガイドに貼られていたポスターがとても魅力的で、その瞳に誘われるかのように私はチケットを購入していた。
予めアルバムを聴き込むことすらなく、文字通り白紙の状態でライブに参戦したのはこの時が初めてだ。
T-SQUAREの時は一応最新アルバムを聴き込んでいた)
当時の私は若かったし、「楽しませてナンボ」と本気で思っていた。
事実、ライブは素晴らしく、カシオペアそのものを知らなかった私をすっかり虜にしてしまった。
以来、機会あるごとに彼らのライブに足を運んだ。
琵琶湖バレーで行われた野外ライブに参加したこともある。
ライブ以外の部分でもやもやしたものはあったが、それはそれ。
聴きたい音楽を存分に聴けたし、ああいった野外ライブは若い時だからこそ楽しめるものだ。
話は反れてしまったが、私が若かった頃は「ツアー中にアルバムが発売」されることはざらにあったし、その中の何曲かを披露することも多かったように思う。
それが何時からだろう、アルバムが発売され、それを聴き込んでいることを前提としたライブが中心になってきたのは。
真っ新な気持ちで参加しても十分楽しめるのがライブの醍醐味と私は信じているが、こういった考え方は今では少数派なのだろう。
それならそれでいいけど、私が解せないのは「敢えてアルバムを聴き込まない」参加者に対し、あからさまに馬鹿にした態度を取るファン(と呼ばれる輩)だ。
もしかしたら、彼らは初期の頃から応援し続けている古参ファンかもしれない。
ファン歴は浅くとも、その熱心さでは古参ファンに負けないレベルの輩かもしれない。
何れにせよ、所詮「一ファン」に過ぎない彼らがやたらと優越感を振りかざしてくる現実はどうかと思う。
ま、不幸にしてそうした輩に出会ったところで、気の強い私は「何様のつもりだ?」と心の中で罵倒するだけだが。
願わくばそうした輩と遭遇しないことだけを今は願っている。