ターニングポイント

これといった理由もないのに、気が滅入っていた時期がある。
今から7年程前の話だ。
元々気持ちの浮き沈みの激しい方なので、正直いつものことと気にしていなかった。
ただ、何時になく身体がだるいことに違和感を覚えていたのは事実。
だからこそ、偶然地下鉄車内で見かけた広告に「どきっ」とした訳だが。
その広告は鬱病に関するもので、極めて簡易的なチェック項目が幾つか記されていた。
軽い気持ちで試したところ、何とチェック項目の8割に該当してしまった。
内心、まいったなぁ…と思った。
広告には早い段階で専門医に相談を…と書かれていたが、いざ足を運ぶとなれば気が重いし、第一どの病院に行くべきかすら検討が付かない。
丁度更年期特有の症状が出始めたこともあり、だったら先に女性外来にでも…と思い直したものの、やはりこちらも探す気になれず。
何とかせねば…と焦るものの、何一つ出来ない日々。
生きる気力がゼロに等しいのだ。
それでも仕事をこなす上ではさほど支障もなく、むしろ仕事があったお陰で辛うじて気力を保っていたともいえる。

切っ掛けは、一枚のベストアルバム。
ふとした気紛れで耳を傾けたものの、突っ込みどころ満載の歌詞に思わず苦笑。
それでも、歌詞の世界感に何一つ疑念を抱いていない歌声が妙に新鮮だった。
等身大と言ってもいい。
決して大人びることなく、かといって子供っぽくもなく。
良くも悪くも世間知らずなんだろうな…と呟きながら、失われた若さに想いを馳せる。
知らず知らずのうちに涙が溢れていた。

突然、或る思いが湧きあがってくる。
そうだ、色彩心理を学んでみよう、と。
思えば小学生の頃、偶然見たテレビ番組が切っ掛けで「色が象徴するもの」が気になり始めたのだ。
病気で苦しんだり、大きな事故に遭ってしまう子供の絵には共通して使われる色があって、その色が現れた時は注意する必要があると話していたことが忘れられずにいた。
以来、何らかの形で学んでみたいと思い続けていたものの、そうした機会もないまま今日に至っていた。
幸い、とあるスクール内にそうした講座があることは知っていた。
スケジュール的に都合のつく講座があるか否かはわからないが、仮にあったとすればそれが最初で最後のチャンスであろう。
そう考えた私は、帰宅後すぐにwebサイトにアクセス、迷うことなく受講の手続きを済ませる。
陰鬱な気分はいつしか解消されていた。

今でも時折思い出すことがある。
あの時あのアルバムを聴いていなかったとしたら、今でも心身の不調は続いていただろう、と。
更年期特有の症状も、いつの間にか和らいでいた。
好奇心の赴くまま、行動することの喜びもいつしか蘇っていた。
良くも悪くも「ミーハー」であること。
それが私の原動力であり、心のバランスを保つ為にも不可欠なものになりつつある。